オーバードーズその後ですの。4DATA: 2020年1月20日月曜日「クサと一緒でええねんな」 売人と会った後、友人と酒を飲み、渋谷帰りの泥酔の翌日昼過ぎ。 わたしはハーブを家にあったパイプに詰め、100円ライターで上から炙った。 煙を肺に循環させるようにぐるりと巡らし、呼吸の限界値まで溜めて吐く。
「これが、合法!?」
一服目から、快楽はやってきた。 とても合法だとは思えない、それほど強い快楽だった。 味は苦かったように思う。 だがクサだって、独特の臭みと苦みがある。 「あー………」 カラダはダランと弛緩し、口の端からヨダレを垂らす。 「気持ちいい……」 その快楽を何度も求め、幾度もハーブを炙っては吸う。
クサを吸うと、食べ物や飲み物が非常に美味しく感じる。 複数でクサを楽しんでいた時、 ただのミネラルウォーターを飲んで「奇跡の水や!」と叫んだり、 ただのサラダを食べながら、「農家の人たちよありがとう!」 と、その旨さに農家をしのんで涙を流したこともある。 とりわけクサを吸うと甘いものが美味しくなるわたしは、 コンビニで買っておいたシュークリームを食べてみることにした。
「こっちは普通だなあ」
合ドラに、食べ物が美味しく感じられる効果はないようだ。 だが気持ちいい。 クサに負けず劣らず気持ちいい。 皮膚感覚も敏感になっている。
何度煙を吸って吐いてまたハーブを詰めての行為を繰り返しただろうか。 覚えていないがわたしはベットに寝ころび、知らぬ間に眠ってしまっていた。 起きたらもう夕方だった。 心地よい眠りだった。
「あー、気持ちよかったなあ」 ハーブの快感はもうすっかり抜けていた。 だが、感覚は残る。 わたしは間髪をいれず、今度はパウダーを吸ってみることにした。
タバコの先に白い粉をチョンチョンとまぶし、昨日のように煙を吸う。
「わ、なんだこれ?」
昨日試したパウダーとはまた種類が違ったようで、 視覚はカクカクと切り替わらないし、 ただ朝一のタバコを吸って、煙を吐くのを限界までガマンしたような、 それの何重倍もの悦楽がある。
「スゲー……」
タバコにチョチョイとまぶすだけ。 なんてお手軽で、なんて気持ちよいのだ! 難点を一つだけあげるとすれば、気持ちがよくて吸いすぎるわりに、 容量がとても少なく、どんどんパウダーが目減りしていく。 しかしそんなもの、シャブのほうが何倍も高くつくから、 あまり問題はないように思えた。
結局、昼から彼氏が仕事から帰ってくる夜中近くまで、 延々とハーブとパウダーを楽しみ続けた。
彼氏には、合ドラを買ったことは言わなかった。 何だか悪いことをしているようで、とても伝えずらかったのだ。 売人と会ってレンタルルームに行ったことの罪悪感もあるし、 なるべくなら黙っていたかった。
「今日は家に来なければいいのにな……」
彼氏が家に帰ってこなかったら、 朝までもしくは眠くなるまで、延々と合ドラをキメていただろう。 彼氏がやってくる嬉しさよりも、合ドラの快感をずっと味わっていたかったのだ。
仕事から帰ってきた彼氏が言う。 「眠いの? なんか、ボーッとしてるけど」 まだ合ドラの効果が若干効果が残っていたのだろう。 「うん、眠いから今日は早めに寝るーーー」 まだ合ドラを吸いたい気持ちをガマンし、その日は眠りについた。
翌日昼、彼氏が仕事に行ったのを見計らって、 早速、わたしは合ドラを吸い始める。
これが、合ドラとの長いお付き合いの始まりだった。 ここからわたしは合ドラが危険ドラックと呼ばれるようになり、 ネットでも売人からもそれを入手することができなくなるまで、 一日も欠かさず合ドラを吸い続けることになる。 心身ともに、自分が廃人化していくことも知らず。
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