惨めじゃない、ですの。DATA: 2018年9月4日火曜日物心ついた頃、すでに、父親はおらず(ラマンと逃避行)、 父親との思い出になるソレはだいたい、 誕生日にやって来て、 キキララいっぱい買ってくれる優しいオッサン。 そんな風だったけれど。 キキララ大好きだったわたしが、 なななななんと、車を運転できるよになった頃、 母&娘のタッグで、 元父親の再婚宅へと呼ばれて出向き。 エレベーターをギューーーンと上がったその宅は、 ベランダ開けたらPL花火が間近で見れる、 超高層マンションの超高層階で。 「容子ー、夜景綺麗やろー?」 父親は、満点笑顔でわたしらをベランダへ招き、 高速道路のチカチカとか、 澄んで美しい夜景を見、 煙みたくあがる息を吐き、 わたしとおかんは、 二人で手をギュッと握って、 「ホンマ綺麗やなーーー」と言った。 夕食は、 「もー、鍋とか食べ飽きたわ。な!」 「お父さん、もー、こんなんがエエわ!」 高級蟹蟹懐石でござり、 わたしとお母さんはまた、 テーブルの下でギュッと手を握った。 「また、来て下さいねーーー!!!」 オトンの嫁サン、 笑顔で大きく手を振ってはる。 「また来るわなー!!!」 オトン嫁よりいっぱいいっぱい、 手が千切れて飛んでゆきますよくらいビュンビュン振って、 降ろしたその手をまた、二人ギュッと握った。 だいたいの一時間後、 戻った自宅は超密集市営団地の三階。 ボロボロ障子に二層式洗濯機に、 表がささくれだった畳の六畳部屋。 養育費なんて一度も貰えた事がない、 薄汚れた団地住まいで生きてきて、 「なあ、お母さん」 「なんで、ウチら、こんな惨めなんやろか」 そう言ったら、 何もかもがダダ壊れる気がし、 腹の奥底までゴックン言葉を飲み込んで、 「夜景、綺麗やったな」 そう言った私たち母娘コンビは、 門真一、女優だったと思うゼ。
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