オーバードーズその後ですの。3DATA: 2020年1月14日火曜日リタリンを病院で入手できなくなった。 その時、ふと思いついたのが、 「病院がダメなら個人で入手すればいいじゃん!」ということだった。
時はmixi全盛期。 わたしのリタリン依存を知ってかmixiのDMには、 様々な売人からリタリンやドラッグを買わないか、 そういう内容のDMが届いていた。 「リタリンを売ってもらいたいのですが」 連絡のあった売人にかたっぱしからコンタクトをとった。 愕然とした。
ナルコレプシー以外にリタリンを処方されなくなった今、 売人のほうでもリタリンを入手できず、 「現在、売ることはできない」の返信ばかりだったのだ。 焦りに焦ったその時浮かんだ答えは、 「ならば、合法ドラック(※危険ドラッグ、当時は合法)を試そう」であった。
大麻やシャブやマジックマッシュルームなど違法ドラッグの経験はあった。 特に、大麻には縁があり、よく嗜んでいたので、 合法ドラックを試すことに、少しもためらいはなかった。
「すいません、DMをいただいていたものなんですが」 すると、一発目から「あります」との手ごたえがあり、 初心者だと伝えると、一度試してみますかと、 その翌日にはもう渋谷で待ち合わせすることになった。
翌日、指定された場所へ行くと、 背が高くとても痩せて目がギョロリと落ちくぼんだ、不健康そうな男がいた。 「行きますか」 どこへ行くのかは分からない、ただサッサと足早に歩く男の後を追う。 待ち合わせ場所から10分もかからないその場所は、 薄暗く妙な雰囲気のある、レンタルルームだった。 男はフロントに向かい、何を話しているのか分からないが、 かなり慣れたような風に手続きをしていた。
「こっちです」 男がドアノブを右へ回すと、店内よりももっと照明が薄暗く、 シングルベットがただ一つだけ置かれた狭い空間が現れる。 不安はつのったが、それよりもドラッグへの興味が勝った。
男はベットの上に腰掛け、急にタメ口になって、合法ドラッグの説明を始める。 「これはハーブ、クサ(大麻)のようなモノ。クサの経験はある?」 わたしはコクンと無言でうなづく。 「これはパウダー、容子はタバコ吸う? タバコの先につけて吸ったり、炙ったりして楽しむモノ」 わたしはフリーライターだから、どんな時もSNS上でも本名を使う。 とはいえ、突然‘‘容子‘‘呼ばわりされるとは思わなかったが。 「最後に、これがアロマ、30分くらいでキまる」
「だってこれはお香だからね、お香なんだから絶対に捕まらない」 わたしが警察などに通報しないようにとのブレーキだろう。 そこから男は、これらがいかに法的に規制されていないか、 それを強く長時間にわたって話し始めた。
「初心者だよね。まずはお試しで吸ってみていいよ」 と言いながら、フロントで買ったのか持参してきたのか分からないが、 缶ビールとアロマをわたしに渡し、わたしはその液体を口へ含む。 無味無臭だったかと思う。 「酒と飲むとよく効くから、ビールもっと飲んでいいよ、チューハイもあるよ」 「カラダが火照りはじめない?」 30分を経過しても、わたしのカラダや脳に全く変化はなかった。 どうやらわたしとアロマとは相性がよくなかったようだ。
「パウダーにするかーーー」 ロケット状の小さな容器に白い粉がはいったものを男は出す。 「これはどう使ったらイイんですか?」 「容子、煙草吸うって言ってたよね? 煙草の先に粉をつけて、肺に煙を巡らすように、呼吸の限界まで吸って吐いて」 「あー、クサと同じ感覚ですか?」 「そうそう、煙を体内に回して回して」
一発でキた。
視覚がカクカクとTV画面が切り替わるように小刻みに場面が変わり、手足に力が入らない。 気持ちいいという感覚はない、ただ視覚がサイケでヤバく、意識が飛びそうだ。 「うわあ……」 思わずそんな声が小さく漏れ、悦楽はないのによだれをたらした。 とてもじゃないが、ベットに腰掛けてなんかいられない。 わたしはただただ、「うわあ」と声を漏らしながら、 耐え切れずベットに倒れこんだ。
それを観察するようにジッと座っていた男が、 「俺は容子ちゃんとセックスがしたいなあ~」と言いだし、 わたしのカラダに覆いかぶさってきた。 「ムリです、ムリムリ」 カラダを撫でまわされたが、そんな気分になんてとてもなれない。
パウダーを吸ってからどれくらい経ったのだろうか。 まるで時間の感覚がないが、男の動きに抵抗しているうち、 視界のカクカクがスローになってきた。 また、わたしが抵抗しているうち、男もやる気がうせたようで、 わたしのカラダからスッと離れた。 男はいつもこの手を使って、ラリった女をセックスに持ち込んできたのだろう。
まだハーブを試していないが、とてもそんな状態ではなく、 わたしはハーブのパケ一袋とパウダーを一つ買って、 ちょうどこの後に遊ぶ約束をしていた友人の元へと向かった。 ハーブもパウダーも、それぞれ5000円だったと記憶する。 友人と会う時、ほとんど醒めた状態だったけど、「酔ってるの?」と一言聞かれた。
あまり快楽を供わない、合ドラ初体験だった。 だが、わたしはここからわたしは、蟻地獄のような合ドラ本来の快感にどっぷりハマり、 おおよそ丸3年だろうか、廃人のような生活を送ることになる。 地獄の幕開けだった。
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