自殺した人・された人
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2009年6月25日木曜日
死に方の日記のコメントが以外に多かったのでビックラしています。 オナニー日記なのになぜだろう。
自殺、と言えば、思い出すことがあります。 私が編プロ時代・20歳の時から編集担当だった、 角川書店の編集者なんですが、 私がその編プロをやめても、 気が合ったんでしょうね仲良しは続き、 その後も時々飲みいったりしてました。 泥酔して歩けず一緒にラブホに避難しても、 ヤることなく思い思い寝るだけのいい関係でした。
私が初めて出会った頃は、 一編集者に過ぎなかったその人ですが、 次第にデスクとなり、新創刊雑誌の編集人となり、 どんどん地位が高まっていきました。 私がアゲマンだったからじゃねぇかと錯覚したくらいサクサクと。
その人が編集人となった頃、 私はフリーの編集&ライターになっていたのですが、 編集人ともなればいろいろと部下には言えない悩みもつきまとうだろうし、 その点、私はフリーという立場だったので弱音なども吐きやすいんでしょう。 めたくそ忙しい合間を縫って、一緒に飲みにいったりしてました。
お前、角川くるか? 権限を持ったその人は、 そう私を誘ってもくれたけど、 一流の大学出てても入れない壁のある大会社だけど、 高卒の私には願ってもないお誘いなのだろうけど、 私は自分が社会生活不適合者だと知っていたので、 気持ちはすごくうれしかったけど断りました。 私がなんかしでかしたら、私を入れたその人に火の粉がかかる。 そんなことはまっぴらゴメンです。
その人が編集人をしていた雑誌が、 不況で休刊という名の廃刊に追い込まれました。 編集人だったその人は、 東京にあるデータベース部、 ただ時間が過ぎるのを待つだけのような公務員仕事のような、 クソみたいな部署に飛ばされました。
出版社って分かりやすい、 非道ですね。 私が勤めてた出版社でも、 目の上のたんこぶとなる人物は、 容赦なくクソみたいな部署に飛ばされていました。 人事移動をルーレットで決めてんじゃねぇか? という話しもあがったくらい滅茶苦茶です。
その人が東京に飛ばされたのを間もなくして、 私も東京へ上京しました。
かなり稼いでいたけど金は使うために稼ぐんやと思っていた私は、 湯水のように金を使い込んでおり、 東京へ行くために残された資金はわずか5万円しかありませんでした。 けれど部屋も借りないといけないし、 仕事が軌道にのるまでの間は無収入だし、 ちうか仕事がまわってくるのかさえ分かんないし、 色々と武富士で借金しました。 今はもう返し終えましたけどね。 相当な額でした。
そんな、飯もロクに食えなかった私を、 その編集者は毎日のように、 「お前、腹減ってるだろ」と、 夕飯を食べに誘ってくれました。
「瀧本、米だけは買っておけ。 後はインスタントみそ汁とふりかけな。 これさえあればなんとか生きていける。 俺が報道やってた食えない時期はそうしてた。 今の俺には幸い金がある。 米代がないならやる、家賃もやる、返してなんかいらん。 返すなんてカッコ悪いこと俺にするなさせるな」
そう言ってくれたけれど、 そこまではしてもらいたくなかったので、 借金したお金のなかから捻出していました。
ホンマ、泣けるぐらい嬉しかった。 その時の恩はいまだずっと忘れていないし、 絶対恩返しするつもりでしたが、 それさえさせてくれないまま、 その人は死んでしまいました。 自殺です。
その人には嫁も子供もおり産まれたばかりの赤ちゃんもおり、 それまでそれ相当稼いでいた蓄えがあったから、 神戸に一軒家があり、 東京にも一軒家があり、 愛する家族がいるという状況でした。
だけど、自殺した。 すべてを捨てて死んでしまった。 守るべきものがありながら自ら命を絶ってしまった。
その人をそこまで追い込んだ出版社の体制とはなんなのだ。 はらわたが煮えくり返りそうになるけれど、 私にはなにもできない。 それがサラリーマンの宿命だとも分かっているから。
今でもこの世にいないことが信じられず、 お葬式にも焼香もあげに行っていない。 認めたくないからだ。 認めてないから涙もでない。 頼むから恩返しさせろ。 恩返しもできないなんてカッコ悪い思い私にさせるな。
どんだけツラかったんだろう。 なんであんだけ頻繁に会ってたのに、 私が救うことができなかったのか。 悔やむ悔やむ悔やむ。
家族を捨ててまで自殺する心境ってどれくらいツラいの? 想像もできない。 私はそこまで追い込まれていない。
どんな気持ちだったんだろうかどんだけツラかったんだろうか。 手助けの手さえ差し伸べられず、悔やむ悔やむ悔やむ。 どこかでサインは出ていたハズだ。 なんでそれに気付かなかったのだろか。 私、バカじゃないだろうか。 悔やむ悔やむ悔やむ。
私が東京で立派に本を出すことも、 その人に対する恩返しの一部です。 だからガンガル。
いつか私もそっちへいくので、 また一緒に泥酔したい。
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