キーマン・レイコ
DATA:
2009年5月15日金曜日
相方のお母さんの手術で北海道にいる間、 相方のおばさんにあたりちょうど病院がある室蘭に住む、 レイコさん家に泊まらせてもらっていた。
事前に相方から、軽くジャブは入れられていた。 「レイコさんはキーマンだから気を付けて」
始めて顔を合わせた時からこうであった。 「はじめまして〜、レイコですぅ〜、いらっしゃ〜い、歓迎してないけどっ」 「なんちてネ」
すべてがそのように進められていくのであり、 しかしわたくしはそんな感じの人が大好きなので、 レイコさんレイコさんと慕っていた。 あんまり喋り上手じゃないわたくしと相反して、 めちゃくちゃマシンガントークかますところも、 気を使わずにすみとてもありがたいことであった。
そのキッツイ性格上、”キーマン”であるのだろうか? そう思っていたのだが、 キーマン・レイコの実力を発揮したのは、 とある珈琲専門店にはいった時であった。
「ヨォコは酸味があるのが好きだからモカを」 「俺は、すいませんが珈琲飲めないんで紅茶ください」 「私はアメリカンよろしくね?」
ウェイターが言う。 「私共の店ではアメリカンはお出ししておりません」
レイコさんが言う。 「あら、そうなの? じゃあブレンドで」
しばらく経ち、 ブレンド、モカ、紅茶を運んできたウェイター。 レイコさんが言う。 「お湯、もってきてくださる?」
お湯を持ってくるウェイター。 ブレンドにお湯を混ぜて、 無理矢理アメリカンにするレイコさん。
で、レイコさんが店内に響き渡る大きな声で叫ぶ。 「マッズー!!」 「ちょっと、ウェイターきて、ウェイター早く!!」
駆け寄ってきたウェイターにレイコさんが言う。 「これ、すっごくマズイんだけど?」 ウェイターが言う。 「はぁ・・・」 そしてレイコさんが言う。 「はぁじゃないでしょ、はぁじゃ?」 「お口に合いませんでしたかでしょ?」
相方とわたくしはだんまりを決め込んだ。
レイコさん、 あぁ、レイコさん。 キーマンの意味がその珈琲専門店で改めて分かりました。 お母さんに気に入られるより彼女に気にいられなければ、 きっと2人の結婚はウマく進まないことでしょう。
北海道からの帰り空港まで送ってくれ、 大量の土産や商品券まで持たせてくれ、 「もう来ないでね! ウソだけど」 と笑顔でレイコさん。
そんなレイコさんが大好きですが、 絶対敵にまわしたくないなと思いました。 懐に飛び込まなければ懐に。 それが人生の処世術。
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